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熊本地方裁判所 昭和51年(わ)51号 判決 1976年5月24日

本籍と住居

熊本県天草郡御所浦町三〇三番地

かつお餌販売業

竹下作義

明治三九年八月三日生

本籍と住居

熊本県天草郡御所浦町三〇三番地

かつお餌販売業従業員

竹下敏則

昭和八年一二月一八日生

主文

(一)  被告人竹下作義を懲役六月及び罰金一、二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人竹下作義を労役場に留置する。

被告人竹下作義に対し、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

(二)  被告人竹下敏則を懲役六月に処する。

被告人竹下敏則に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人竹下作義は、熊本県天草郡御所浦町三〇三番地及び長崎府佐世保市東浜町六八七番地にそれぞれ事業所を設け、かつお餌販売業を営んでいるもの、被告人竹下敏則は、被告人竹下作義の長男で同人の右事業の従業員として経理事務等を担当しているものであるが、被告人両名は、共謀のうえ、被告人竹下作義の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外して無記名預金とするなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四七年分の総所得金額は三、一九七万八、三五二円であつて、これに対する所得税額は一、四九八万七、八〇〇円であるのにかかわらず、昭和四八年三月一二日、所轄の熊本県本渡市古川町四番二号所在天草税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は二八八万四、七二三円であつて、これに対する所得税額は一六万八、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の所得税一、四八一万九、〇〇〇円を免れ

第二  昭和四八年分の総所得金額は五、四一三万九、五〇九円であつて、これに対する所得税額は二、八八三万一、二〇〇円であるのにかかわらず、昭和四九年三月六日、同市川原町四番一〇号所在天草税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は三四二万二、三六八円であつて、これに対する所得税額は二三万七、七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の所得税二、八五九万三、五〇〇円を免れ

第三  昭和四九年分の総所得金額は二、六三四万四、三三九円であつて、これに対する所得税額は九九五万五、二〇〇円であるのにかかわらず、昭和五〇年三月一日、同市古川町四番二号所在天草税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は三七三万五、〇六五円であつて、これに対する所得税額は一八万五、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の所得税九七七万二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人竹下作義の検察官に対する供述書(三通)及び大蔵事務官に対するてん末書(六通)

一、被告人竹下敏則の検察官に対する供述調書(六通)及び大蔵事務官に対する質問てん末書(一六通)

一、三浦義則(二通)、橋本孝博、馬場直喜、遠藤照朝、吉中実人の検察官に対する各供述調書

一、三浦義則、遠藤照朝、吉中実人、梯末吉、浜崎正利、樫山松治、末永源吉、菊池彰、小浦吉義の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書

一、大蔵事務官作成の調査事績書(三八通)

一、大蔵事務官作成の検査てん末書(四通)

一、熊本相互銀行本渡支店長代理三浦義則(三通)、肥後相互銀行本渡支店調査役遠藤照朝、祖母井章、天草税務署統括国税徴収官中村正美、網田昌幸、竹下浩一、(有)西海船具店代表取締役宮崎正勝、川越初子、(資)加藤造船所経理担当加藤マサ子、揚村満、大栄漁業(有)新屋敷武郎、立山水産(株)代表取締役立山禎享、加川尚美、黒木貞徳作成の各上申書

一、熊本地方貯金局長、佐世保市財務部資産税課長、三井生命保険相互会社熊本支社、第一生命保険相互会社年払料金課長、明治生命保険相互会社年掛料金課、日本生命保険相互会社熊本支社長、住友生命保険相互会社熊本支社長、御所浦郵便局長作成の各回答書

一、検察事務官作成の電話録取書

一、大蔵事務官作成の電話連絡せん(二通)

一、普通預金元帳等写一八枚(証明書第一号)

一、普通預金元帳等写一六枚(証明書第二号)

一、定期預金残高元帳等写四四枚(証明書第三号)

一、定期預金利息支払票写二一枚(証明書第四号)

一、定期預金証書写三枚(証明書第五号)

一、定期預金証書写三九枚(証明書第六号)

一、定期預金支払伝票等写七枚(証明書第七号)

一、定期預金残高元帳等写一一枚(証明書第八号)

一、定期預金元帳等写七枚(証明書第九号)

一、普通預金収納票等写二枚(証明書第一四号)

一、定期預金入金出金伝票等写七〇枚(証明書第一五号)

一、普通預金振替支払伝票等写一〇枚(証明書第一八号)

一、定期預金元帳兼印鑑票等写一六枚(証明書第二〇号)

一、信用調(個人)等写一九枚(証明書第二二号)

一、普通預金元帳等写一二枚(証明書第二四号)

一、定期預金証書及び預金利息支払伝票写七枚(証明書第二五号)

一、普通預金元帳写一六枚(証明書第二六号)

一、普通預金元帳写(証明書二七号)

一、伝票綴等写二九枚(証明書第二八号)

一、定期預金証書、出金伝票写三枚(証明書第二九号)

一、新車受注明細書写二枚(証明書第三〇号)

一、自動車注文申込書等写三枚(証明書第三一号)

一、徴収簿写七枚(証明書第三二号)

一、売掛台帳写四枚(証明書第三五号)

一、押収してある手帳二冊(昭和五一年押第四二号の一、五九)、取引状況表四枚(同押号の二ないし四、三一)印鑑二六個(同押号の五ないし三〇)、メモ紙二枚(同押号の三二、五五)、見込客カード一枚(同押号の三三)、定期預金元帳三枚(同押号の三四ないし三六)、定期預金管理票三枚(同押号の三七ないし、三九)、定期預金証書一一枚(同押号の四〇ないし五〇)、金銭出納帳(同押号の五一)、ノート六冊(同押号の五二ないし五四、五六ないし五八)、青色申告者書類綴一冊(同押号の六〇)、確定申告書三枚(同押号の六一ないし六三)、青色申告書控一綴(同押号の六四)

(法令の適用)

判示行為及び被告人作義に対する刑の併科

被告人両名に対し所得税法二三八条一項、刑法六〇条、被告人敏則に対し更に刑法六五条一項

刑種の選択

被告人敏則に対し懲役刑選択

併合罪の処理

被告人両名に対し右は刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重、被告人作義に対し罰金刑につき同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算

労役場留置

被告人作義に対し刑法一八条

刑の執行猶予

被告人両名に対し刑法二五条一項(被告人作義に対しては懲役刑について)

(検察官平井義丸出席)

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 石田実秀)

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